N3文法 UNIT10
1. ~とか
接続
[N/V/A] 普通形 + とか
意味
不確かな伝聞(〜だと聞いた)を伝える時に使う。主に会話で使われる。
例文
例 1
「明日の英語の授業は休みだとか聞いたけど、本当?」
例 2
お母様が入院なさったとか。具合はいかがですか。(手紙)
例 3
駅で人身事故があったとかで電車が止まり、遅刻してしまった。
例 4
九州地方は今年は雨が少ないとか。水不足が心配だ。
例 5
*「さっき、原田さんとかいう方からお電話がありました」
注意
- 「~という/~って」と間違えやすい。→「~とか」は不確かな伝聞や、曖昧な引用を言う時によく使われる。
- 会話や手紙でよく使われる。→「〜だと聞いた」という軽いニュアンスで、断定しない。
- 情報源が確かな場合には使わない。→より確実に伝えたい場合は「~ということだ/~そうだ」を使う。
2. ~だけ
接続
[V/A] 名詞修飾型 + だけ
意味
程度や範囲(〜の限界まで)を表す。「できるだけ」「好きなだけ」の形でよく使われる。
例文
例 1
試験が終わったら、好きなだけ遊びたい。
例 2
「食べたいだけ食べていいですよ」
例 3
「あしたはできるだけ早く来ます」
例 4
できるだけのことはやったつもりだ。
例 5
*地位が上がれば、それだけ責任も重くなる。(=程度に応じて)
注意
- 限定の「〜だけ(のみ)」と間違えやすい。→N3では、程度や範囲を表す「できるだけ」「好きなだけ」の意味でよく使われる。
- 「~しか」との違い。→「~しか」は常に否定形と結びつき、限定のニュアンスを持つが、「~だけ」は中立的で肯定的な文脈でも使える。
- 「それだけ」と「~だけ」の違い。→「それだけ」は「その程度に応じて」という意味(代名詞)であり、限定の文法ではない。
3. ~ばかりでなく
接続
N / [V/A] 名詞修飾型 + ばかりでなく
意味
「AだけでなくBも」と情報を付け加える時に使う。
例文
例 1
彼女は英語ばかりでなく、フランス語やドイツ語も話せる。
例 2
この本はただ面白いばかりでなく、仕事にも役立つ。
例 3
「自分のことばかりでなく、人の気持ちも考えなさい」
例 4
あのスーパーは商品が豊富なばかりでなく、値段も安い。
例 5
彼は頭の回転が速い。そればかりではなく、発想もユニークだ。
注意
- 「~だけでなく/~はもちろん」と間違えやすい。→「~ばかりでなく」はやや硬い表現で、書き言葉でよく使われる。
- 後ろの文でより強調したいことを述べる。→「AばかりでなくBも/まで」の形でよく使われる。
- 単なる例の列挙には使わない。→例を挙げる場合は「~など」を使う。
4. ~かけ/かける
接続
Vマス形 + かけ/かける
意味
動作がまだ終わっていない、途中の状態を表す。
例文
例 1
書きかけの手紙
例 2
読みかけの本
例 3
食べかけのりんご
例 4
忘れかけていた記憶
例 5
「やりかけたことは最後までちゃんとやりなさい」
例 6
彼女は何か言いかけたが、すぐに口を閉じてしまった。
注意
- 「~中/~途中」と間違えやすい。→「~かけ/かける」は「やりかけで放置されている」状態を強調し、中断されやすい。
- 名詞化と動詞の違い。→「~かけ」は途中の状態(名詞)。「~かける」は動作を始めてまだ終わっていないこと(動詞)。
- 「~かかった(時間・お金がかかる)」と間違えやすい。→ここでの「かける」は「やり始める」という意味。
5. ~をこめて
接続
N + をこめて
意味
ある行為に、強い感情や思いを注ぎ込むことを表す。
例文
例 1
母の誕生日に、心をこめて編んだセーターを贈った。
例 2
先生への感謝の気持ちをこめて、みんなで手紙を書いた。
例 3
子どもたちは平和への祈りを込めて千羽鶴を折った。
例 4
愛/力/皮肉/願い + をこめて
例 5
*「心のこもったおもてなしをありがとうございます」
注意
- 目的の「~ために」と間違えやすい。→「~をこめて」は、行為や物に込められた感情や思いを強調する。
- 「気持ち/愛/感謝」などの言葉と一緒によく使われる。
- 実用的な目的には使わない。→明確な目的がある場合は「~ために/~ように」を使う。
6. ~わりに(は)
接続
[N/V/A] 名詞修飾型 + わりに(は)
意味
基準や予想から考えられる程度とは違っていることを表す。「〜の基準からすると…」
例文
例 1
「山田さんは留学経験がないわりに英語の発音がきれいですね」
例 2
この仕事は大変なわりに給料が安い。
例 3
あのレストランは値段のわりに(=値段が安いわりに)おいしくて量も多い。
例 4
彼女はやせているわりには丈夫で力も強い。
例 5
*今度の試験はあまり勉強しなかった。そのわりには成績がまあまあでほっとした。
注意
- 「~のに」と間違えやすい。→「~わりに(は)」は「基準・予想に反して」という結果を強調する。
- 前の文が比較の基準になる。→「Nのわりに/V普通形わりに」の形でよく使われる。
- 必ずしも非難の意味を持つわけではない。→「~のに」は不満の感情が強いが、「~わりに」は単なる評価・感想の場合もある。
7. ~くせに
接続
[N/V/A] 名詞修飾型 + くせに
意味
逆接を表し、非難や軽蔑のニュアンスを伴う。主に会話で使われる。
例文
例 1
石田さんは次の日にテストがあることを知っていたくせに、教えてくれなかった。
例 2
母は歌が下手なくせに、マイクを持つと放さない。
例 3
最近の若者は体は大きいくせに、体力はないようだ。
例 4
「子どものくせして(/何も知らないくせに)偉そうなことを言うな」
例 5
*松井さんは、自分は何もしない。そのくせ人のすることには文句を言う。
注意
- 「~のに/~くせして」と間違えやすい。→「~くせに」は非難や軽蔑のニュアンスが強く、話し言葉寄り。
- 中立的な対比には使わない。→単なる対比の場合は、文脈に応じて「~のに/~一方で/~反面」などを使う。
- 相手の行動に対する不満を表す時によく使われる。
8. ~てみせる
接続
Vて + みせる
意味1(他人にやって見せる)
相手を安心させたり、納得させたりするために、実際にその行為をして見せることを表す。
意味2(強い意志)
話し手の「絶対に〜する」という強い決意や意志を表す。
例文
例 1
言葉で説明するのが難しいことでも、実際にやってみせればすぐにわかる。
例 2
子どもが不安そうだったので、母親は「大丈夫よ」と言うように、うなずいてみせた。
例 3
「ほんとにそんなこと、できるのか」「できるよ」「じゃ、やってみせろよ」
例 4
今度こそ、ぜったい勝ってみせる。
例 5
今年はだめだったけど、来年は必ず合格してみせる。
注意
- 「~てやる/~てあげる」と間違えやすい。→「~てみせる」は「やって見せる」という強い意志や決意を強調する。
- 決意や挑戦のニュアンスを持つことが多い。→自分の能力を証明したい時によく使われる。
- 「試しにやってみる(~てみる)」とは異なる。
9. ~をきっかけに/にして/として
接続
N + をきっかけに/にして/として
意味
ある出来事が動機や契機となって、次の変化や発展が起こることを表す。
例文
例 1
大学入学をきっかけに、一人暮らしを始めた。
例 2
留学をきっかけに、自国の文化について考えるようになった。
例 3
大統領の来日をきっかけにして、日本人の米国に対する関心が深まった。
例 4
ちょっとした事件をきっかけとして、やがて死者が出る暴動へと発展した。
注意
- 「~をもとに」と間違えやすい。→「~をきっかけに/にして/として」は、変化や発展の「契機・スタート地点」であることを強調する。
- 前件(A)がきっかけとなる出来事。→その後、新しい変化が起こる。
- 単なる直接的な理由には使わない。→単純な原因・理由の場合は「~から/~ので」を使う。
10. 「とする」を使った仮定表現
接続
[N/V/A] 普通形 + とする / としたら / とすれば / とすると / としても
意味
まだ起きていない状況や条件を仮定し、そこから推論したり意見を述べたりする時に使う。
A. ~とする(〜と仮定する)
例 1
太陽を直径1メートルの球だとします。すると地球は9ミリくらいです。
B. ~としたら/すれば/すると(もし〜と仮定したら、〜の場合)
例 1
「お見舞いに行くとしたら何時ごろがいいだろうか」
例 2
A=B, B=Cとすると、A=Cである。
例 3
あの工場の廃水が病気の原因だとすれば、当然補償問題が出てくるだろう。
例 4
彼が犯人でないとしたら、だれが盗んだのだろう。
例 5
成績優秀な佐藤さんにも難しいとすれば、私になどわかるわけがない。
例 6
「休日は無理だとすると、平日の夜に集まるしかありませんね」
C. ~としても(たとえ〜と仮定しても)
例 1
チャレンジ精神こそ大切だ。もし失敗したとしても、後悔はしないぞ。
例 2
彼は苦しんでいたとしてもそれを顔には出さなかったので、私にはわからなかった。
例 3
たとえ可能性は低いとしても、やってみる価値はある。
例 4
*その試合を見に行くのは無理だと思う。行けるとしたって、試合開始には間に合わないだろう。
注意
- 他の仮定表現と間違えやすい。→「~とする」は「〜と仮定する」という意味で、架空の条件を設定する時によく使われる。
- 必然的な結果を表す「~とすると」と混同しないこと。→「~とする」は「仮定する」こと。「~とすると」は推論による「そうだとすれば」という意味になることがある。
11. ~際に/際(に)は
接続
[N + の] / Vる / Vた + 際 に/際(に)は
意味
事が起こる時を表す。「〜の時」より硬い表現。
例文
例 1
「お降りの際は足元にご注意ください」(乗り物内のアナウンス)
例 2
「外国人登録をする際に必要な書類を教えてください」
例 3
「今度日本へいらっしゃった際には、ぜひ我が家にお泊まりください」
例 4
*きょうは安売りしている。この際だから、まとめて1ダース買っておこう。(=いい機会だから思い切って)
注意
- 「~とき」と間違えやすい。→「~際に/際(に)は」はよりフォーマルで、案内やお知らせなどでよく使われる。
- 手続きなどの行為と一緒に使われることが多い。→例:「ご利用の際は…」「入場の際に…」
- 親しい会話ではあまり使わない。→日常会話では「~とき」の方が自然。
12. ~おそれがある
接続
[N/V] 名詞修飾型 + おそれがある
意味
将来、悪い結果が起こる可能性があることを表す。主に書き言葉やニュースなどで使われる。
例文
例 1
この薬は副作用のおそれがあるので注意しなければならない。
例 2
出席率が悪いと、ビザの更新ができない恐れがある。
例 3
風が強く、火事が広がる恐れがあったので、付近の住民は避難した。
例 4
警察は、犯人はすでに国外へ逃亡した恐れがあると見ている。
例 5
*「四国南部で地震が発生しました。しかし、津波の恐れはありません」
注意
- 「~かもしれない」と間違えやすい。→「~おそれがある」は「悪いことが起こる危険性」を表し、より深刻なニュアンスがある。
- 書き言葉、お知らせ、警告などでよく使われる。→ニュースや安全に関する資料でよく見られる。
- 個人的な軽い心配事には使わない。→主観的な心配の場合は、文脈に応じて他の表現を使う。