N3文法 UNIT4
~くらい / ~うちに / ~にとって…
文法 1:~くらい/~ぐらい
意味 1:約…、…ぐらい(概算・推量)
接続:N / 数量 + くらい/ぐらい
例 1
ここから駅まで10分ぐらいだ。
意味 2:…ほど、…くらい(程度)
接続:普通形 + くらい/ぐらい
例 1
もう動けないくらい疲れた。
例 2
ライバルに負けた。悔しくて泣きたいぐらいだ。
例 3
彼くらいの背の高さなら、棚に手が届くだろう。
意味 3:…くらい、…程度(軽視・最低限)
接続:N / Vる + くらい
例 1
かぜくらいで仕事を休めない。
例 2
これぐらいの傷なら医者に行かなくてもいいだろう。
例 3
半年勉強したので、簡単な会話くらいならできる。
例 4
忙しくても、電話をするくらいの時間はあるはずだ。
例 5
「こんなことを知らないのは君くらいだよ」
💡 注意点:
- 3つの用法(概算、程度、軽視)を混同しないように注意。
- 文脈で意味を判断する:数量・時間の後は「概算」。節の後は「程度」。
- 軽視のニュアンスがある場合、「約」と訳さないように注意。
文法 2:~くらいなら/~ぐらいなら
意味:…するくらいなら、むしろ…(…するよりはマシだ)
接続:Vる + くらいなら
例 1
途中でやめるくらいなら、初めからやらないほうがいい。
例 2
お金のためにいやな仕事をするくらいなら、貧しくてもいい。
例 3
あいつに謝るくらいなら、死んだほうがましだ。
例 4
「練習が辛くて泣くぐらいなら、やめてしまいなさい」
💡 注意点:
- 「~たほうがいい」との違い:「~くらいなら」は「AよりはBのほうがマシ」という消極的な選択を表す。
- 後件には「~ほうがマシだ」「~ほうがいい」などが続き、前件(A)を強く否定する。
- 程度の「くらい」ではなく、選択を表す。
文法 3:~うちに
意味 1:…している間に(状態が変わる前に)
接続:Nの / Naな / Aい + うちに
Vない / Vている + うちに
Vない / Vている + うちに
例 1
暗くならないうちに山を下りたい。
例 2
祖父は元気なうちにいろいろな所へ旅行したいと言っている。
例 3
あしたは母の日だ。母が寝ているうちに朝ごはんを作って驚かせよう。
例 4
10代のうちに将来の目標を決めたいと思っている。
例 5
「大事なことは忘れないうちにメモしておいたほうがいいですよ」
意味 2:…している間に(予想外の変化)
接続:Vない / Vている + うちに
例 1
テレビを見ているうちに寝てしまい、試験勉強ができなかった。
例 2
切符を買っているうちに電車が出てしまった。
例 3
しばらく会わないうちに、その子はずいぶん大きくなっていた。
💡 注意点:
- 2つの用法の違い:「状態が変わる前に意図的に行動する」用法と、「~している間に自然に変化が起きる」用法がある。
- 後件によって意味が決まる。意図的な行動なら前者、無意識の変化なら後者。
文法 4:~を中心に/を中心として/を中心にして
意味:…を中心に(して)/…を中心として
接続:N + を中心に/を中心として/を中心にして
例 1
駅前を中心に再開発が進められ、新しいビルが次々と建てられている。
例 2
今度の日本代表チームは主将の中村選手を中心によくまとまっている。
例 3
A社を中心にしてABC3社の合併計画が進められている。
例 4
この地域では大学生を中心とする若者たちが集まり、ボランティア活動をしている。
💡 注意点:
- 「~をはじめ」との違い:「~を中心に」は「Nを真ん中・中核にして広がる」ことを強調し、単なる代表例の列挙ではない。
- 組織や活動を表す言葉(例:東京を中心に、若者を中心に)とよく一緒に使われる。
- 単なる「主に」という意味ではなく、「中核」という意味合いがない場合は使えない。
文法 5:~をはじめ
意味:…をはじめ(として)(代表例を挙げる)
接続:N + をはじめ
例 1
最近の携帯電話にはカメラをはじめとして、いろいろな機能がついている。
例 2
新宿には都庁をはじめ、多くの高層ビルが立ち並んでいる。
例 3
サミットにはアメリカをはじめとする各国の首脳が集まる。
例 4
校長先生をはじめ、先生方には大変お世話になりました。
💡 注意点:
- 「~など」との違い:「~をはじめ」は代表的なものを一つ挙げ、「他にもある」ことを暗示する。
- 後件には「~など」「~を含め」「~を中心に」などが続き、範囲を広げることが多い。
- 全てを列挙する場合や、限定されたリストには使えない。
文法 6:~に対し(て)
意味:…に対して(対象・方向)
接続:N + に対し(て)
例 1
目上の人に対しては敬語を使わなければならない。
例 2
先生は学生のどんな質問に対しても、ていねいに答えてくれる。
例 3
厳しい父に対し、私はいつも反抗的な態度をとった。
例 4
長引く不況で、国民の政府に対する不満が高まっている。
例 5
彼女は自分に対して非常に厳しい人だ。
💡 注意点:
- 対比の「~に対して」との違い:ここでは「対象・方向」を表し、「Aは~だが、Bは~」という対比ではない。
- 前後に対比関係がない場合は、通常「対象」の意味になる。
- 対象に向かう行為(例:返事をする、意見を言う、質問するなど)とよく一緒に使われる。
文法 7:~において
意味:…において(場所・時間・場面・分野)
接続:N + において
例 1
近代工業はヨーロッパにおいて誕生した。
例 2
災害時においては、冷静になることが何よりも大切だ。
例 3
卒業式は○○ホールにおきまして10時より行われます。
例 4
我が社の車は、安全性においてはどこにも負けません。
例 5
明治時代における学校教育について研究したい。
💡 注意点:
- 「~で」との違い:「~において」はより硬い表現で、書き言葉やニュース、お知らせなどで使われる。日常会話には不自然。
- 場所だけでなく、時間、場面、分野(「~の点において」など)にも使われる。
文法 8:~にわたって/わたり
意味:…にわたって(期間・範囲の全体)
接続:N + にわたって/わたり
例 1
国立競技場では2週間にわたって熱戦が繰り広げられた。
例 2
台風が近づき、関東地方全域にわたって暴風警報が出された。
例 3
がけ崩れのため、その道路は10キロにわたり通行止めになった。
例 4
病院で食生活全般にわたる指導を受けた。
例 5
20年にわたった内戦が終わり、国民の顔にもようやく笑顔が見られるようになった。
例 6
その会議では、多岐にわたる問題が議論された。
💡 注意点:
- 「~間/~中」との違い:「~にわたって」は範囲が広く、連続していることを強調し、規模が大きいニュアンスを持つ。
- 長い期間や広い範囲(例:数年間、全国、全域など)とよく一緒に使われる。
- 非常に短い期間や単発の出来事には使えない(「1時間」なら「1時間(の間)」を使う)。
文法 9:~にとって
意味:…にとって(評価・判断の立場)
接続:N + にとって
例 1
東京は若者にとっては刺激のある魅力的な街だ。
例 2
百万円は私にとっては大金だが、彼にとってはたいした金額ではないようだ。
例 3
私にとって日本は、自分の夢を実現するための国だ。
例 4
規制緩和は政府にとっても民間企業にとっても切実な問題だ。
例 5
私にとっての故郷とは、青春時代を過ごしたあの町しかない。
💡 注意点:
- 「~には」との違い:「~にとって」は「Nの立場から見ると」という意味で、評価や判断を表す。後件には評価を表す言葉(例:大切だ、難しい、便利だなど)が続く。
- 直接的な行為の対象には使えない(「誰かに向かって何かをする」場合は「~に対して」を使う)。
文法 10:~による/より/よって/よっては
接続:N + による/より/よって/よっては
意味 1:…によって(原因・理由)
例 1
森林の伐採により、世界各地で砂漠化現象が起こっている。
例 2
今度の台風による被害は1億円に上る。
意味 2:…によって(手段・方法)
例 1
インターネットによって瞬時に大量の情報が得られるようになった。
例 2
電話によるお問い合わせはご遠慮ください。
意味 3:…によって(根拠)
例 1
成績によってクラスを決める。
例 2
目撃者の証言により、犯人が逮捕された。
意味 4:…によって(対応・違い)
例 1
文化や法律は国によって違う。
例 2
人により、この商品の評価は分かれる。
意味 5:…によっては(場合・例外)
例 1
「日によっては、旅行に参加できないかもしれません」
例 2
国によっては安楽死が認められている。
例 3
*晴れ時々曇り、所により雨。
💡 注意点:
- 「原因」と「手段」の混同に注意:「~によって」は原因・理由を表す場合と、手段・方法を表す場合がある。
- 前のNで判断する:人・出来事・災害などは「原因」、方法・道具などは「手段」になりやすい。
- 「~によっては」に注意:「場合・人・場所によって違う」という意味であり、原因ではない。